コピーの不思議Q&A|Ricoh Japan


コピーの不思議Q&A


「不思議だなぁ...」と思うことが、科学する心の第一歩です。みんなが毎日便利に使っている機械の内側には、そんな不思議の秘密がぎっしり詰まっています。「キッズのためのQ&A」では、タカハシ博士とコーラ隊長が、皆さんから寄せられたコピー機、プリンター、ファックスについての質問にお答えします。なぜだろう?不思議だなぁ!と思ったら、ここをクリックしてメールで質問を送ってください。


コピー機の部品に関する質問コピー機の部品に関する質問

石川友紀くんからの質問:

「トナーは何からできているのですか?」

トナーの拡大写真を下に示します。 トナーは5〜8ミクロン(1ミクロンは1ミリの1000分の1の長さ)という、非常に小さな粒状の粉です。 トナーの材料は、色々な役目をもった粒子の混ざった、透明な樹脂です。 この樹脂を含め、代表的な材料を簡単に紹介しますね。

樹脂

樹脂透明な樹脂というのは、プラスチックのことです。 樹脂は熱で溶けやすいので、「定着」の際に加える熱で溶かし、トナーの色成分が紙とくっついて離れないようにする接着剤の役割を担います。 その樹脂の中には、顔料やワックスなど様々な材料が混ざっています。



顔料

ワックストナーに色をつけるために「顔料」という色材が入っています。 顔料ってなに?と、思うかもしれませんが、皆さんが使っている絵の具を思い出してください。 絵の具のさまざまな色も、顔料で作られた色です。顔料は、印刷インクや塗料、化粧品やプラスチックの色など、いろんな場所で使われています。 カラーコピー機では、イエロー(黄色)の顔料、マゼンタ(赤紫色)の顔料、シアン(水色)の顔料、ブラック(黒色)の顔料を樹脂の中に混ぜて、トナーの色を作っています。


ワックス

定着装置の仕組みワックスとは、簡単にいえばオイル(油)です。 では、そのワックスの役割はなんでしょう?
トナーはコピー機の中で熱と圧力を加えられて溶け、紙にしっかりとくっつきますが、これを「定着」といいます (Q&Aページからダウンロードできる赤、青のテキスト内、どちらも28ページで「定着」の説明をしています)。
定着部にはヒーターがあり、ヒーターで定着ベルトが温められます。 圧力は、そのベルトを動かしている上下のローラから加えられます。 そこに粉末状のトナーを載せた紙が運ばれてきて、トナーは熱と圧力を受けて紙に定着されます。 このとき、トナーの表面は定着ベルトから熱と圧力を受けて溶けていますので、トナーがベタベタしてくっつき易い状態だと、溶けたトナーの一部がベルトにくっついてしまいます。 これでは、きれいなコピーが作れませんので、こういうことが起きないようにワックスを混ぜているのです。

帯電制御剤

これは、トナーが静電気を帯びやすいように加えるものです。
トナーは現像器の中でキャリアと呼ばれる50〜80ミクロン程度の大きさの、樹脂をコーテングした金属粒子(鉄とかフェライトなど)と混合されることで、静電気を帯びます。 物をこすり合わせると静電気が発生しますが、この現象を摩擦帯電と言います (「したじき」をこすると、静電気で髪の毛がくっつくのと同じ現象です)。 これと同じことを現像器の中でわざと起こし、静電気を帯びやすいようにしているのです。
カラーコピー機はトナーがマイナスに帯電し、キャリヤがプラスに帯電するように設計してあります。 このように帯電しやすくするために入れるのが、帯電制御剤です。

添加剤

今まで説明した、顔料やワックス、帯電制御剤は樹脂の中に混ぜ込まれる物質ですが、添加剤は後から加えるもので、トナー粒子の表面にまとわりついています。
添加剤の役割は、トナー粒子同士がくっついてしまうのを防ぐことです。 トナー同士がくっついて大きな塊になってしまうと、きれいな画像が得られなくなります (きれいな画像は、トナー粒子の大きさが小さいほうが得られやすくなります)。
おだんごやお餅につける、「きなこ」という大豆の粉がありますね。 この「きなこ」には、美味しいという理由以外に、だんごやお餅がベタベタくっつかないようにする役割があります。 添加剤はまさに、きなこのようなものです。 とくに温度や湿度が高い夏や、赤道直下の一年中暑い国でも、トナー同士がくっついてしまわないようにしているのです。

以上、トナーに含まれている代表的な材料について説明しました。