コピーの不思議Q&A|Ricoh Japan


コピーの不思議Q&A


「不思議だなぁ...」と思うことが、科学する心の第一歩です。みんなが毎日便利に使っている機械の内側には、そんな不思議の秘密がぎっしり詰まっています。「キッズのためのQ&A」では、タカハシ博士とコーラ隊長が、皆さんから寄せられたコピー機、プリンター、ファックスについての質問にお答えします。なぜだろう?不思議だなぁ!と思ったら、ここをクリックしてメールで質問を送ってください。


コピーの仕組みに関する質問 コピーの仕組みに関する質問

岩下 真くんからの質問:

「カラーコピー機では肌色は、どうやって作るのですか?」

「肌色の再現」は、カラーコピー機の「色再現の良し悪し」を決める重要な項目です。 写真でも「肌色の良し悪し」は重要です。 写真を撮ってもらった人が一番気にするのは、自分が綺麗に写っているかどうか?ですよね。 では、綺麗に写っているかどうかを何で判断しているか?といえば、ボケているかどうか?を含め、色々な要素が考えられますが、肌の色の再現性もかなり重要な要素と言えます。 健康なのに青白い肌色に写っていたり、色白の人が日焼けしたような真っ黒な肌色で写っていたら、気になりますよね?

そんな「肌色の再現」は、技術的な難関の一つです。 なぜ難しいかというと、肌色の再現には、きめ細かで微妙な色合いと、その微妙な色合いの滑らかな変化の両方が要求されるからです (これらの、ほんのちょっとしたズレで印象が大きく変わってしまいます)。

カラーコピー機で印刷した写真を見る子供

商業印刷の世界では、たとえばカレンダーに大きく写る女優さんの顔の写真や、雑誌の表紙を飾る有名人の写真など、写真の原板(ネガフィルム)を修正して、肌色を微妙に調整したり、シミやシワを取り除くことも珍しくありません。 これなどは、本人の顔をありのまま再現するということを超えて、実物以上に(?)綺麗に見せたいという意図がありそうです。 それだけ顔や肌色の出し方には気を付けている、ということですね。

カラーコピー機では、印刷のように顔や肌色だけを修正することはできませんが、全体的に赤味を強くしたり、弱くしたりといった色の調整ができるようになっています。

さて。岩下さんの質問への回答ですが、「肌色」の出し方は印刷のような特別なやり方はしていません。 他の色の出し方とまったく同じです。 色の出し方については、テキストの「フィルターによる色分解の秘密(青本:16〜18ページ)」という項目中に詳しく書いてありますが、小学生や中学生の皆さんにとっては少々難しいようです。

以下、イベント時に行った「色重ねの実験」の中で説明した資料を使って、説明してみましょう。

シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色の線を、青、緑、赤フィルターを通してみる実験では次の絵のようなチャートを使い、原稿の色をどうやって作っているか説明しましたが、「肌色」も、その他の全ての色も、この同じやり方で作っています。

右の絵は、「四本の色のついた線」を原稿として説明した例ですが、この原稿を「人の顔が写っている写真」に置き換えて考えれば良いですね。



写真原稿に青、緑、赤フィルターをかけ、CCDで濃さを読み取ります写真原稿に光の三原色(青、緑、赤)のフィルターをかけて、そのときの濃さをCCD(光を感じるセンサー)で読み取ります。そして...

  • 青フィルターをかけた部分の濃淡から、イエロー・インキをつける量が決まります。
  • 緑フィルターをかけた部分の濃淡から、マゼンタ・インキをつける量が決まります。
  • 赤フィルターをかけた部分の濃淡から、シアン・インキをつける量が決まります。

濃度の高い部分ほど、大量のインキを付けます。

なお、CCDについては、テキスト(青本)の20〜24ページに詳しい説明が書かれていますので、あとで参考にしてください。



この結果からイエロー、マゼンタ、シアン毎の単色の画像を作り、その3枚の単色画像を重ねあわせます。 すると原稿と同じ色のコピーができます。肌色も含めて写真の中にある全ての色が、このやり方で同時に再現されるのです。

それでは、肌色はどのような色の組み合わせでできているのでしょう? これは、カラーコピーや雑誌などを虫メガネで拡大して観察するとわかります。

今、私の手もとにあるコピーや雑誌の肌色の部分を拡大して見ると、イエローとマゼンタが主に使われており、わずかにシアンが混じっていることがわかります。 結局のところ使われている色は、色の三原色(イエロー、マゼンタ、シアン)なのですが、ここで大切なことが一つあります。

それはトナーとして存在する色の三原色のほかに、利用されている色があるのです。

それは使用する「紙の白さ」です。 白という色は「色の重ね合わせ」では作れないので、原稿の白はイエローやマゼンタやシアンの色を付けない、紙の白さをそのまま利用しています。 ですから、白に近い肌色は、正確にはマゼンタやイエローとわずかなシアン、それに紙の白さの組合せで再現されているのです。